乳がん罹患率と遺伝子(BRCA1/2)の関係

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乳がんは家族性遺伝による乳癌発症率の高い家系が存在し、アメリカの有名女優がBRCA1の遺伝子異変を理由に予防的両側性乳房切除術を実施したことで話題となりましたが、実際状況はどうなのでしょう。

ガン統計 ’13によると、2013年度の乳ガン罹患者数59,389名で、これはガン罹患者中19.0%(59,389/311,980)、女性総人口当たり0.09%(59,389/65486千人)、これは、1万人中9名が乳がんに罹患したことになります。

また、ガン統計’13によると、生涯の乳がんの罹患率は7.20%で、これは1万人あたり720名が罹患したとのデータとなります。

一方、BRCA1/2による乳がん発症率は一般的に乳がん罹患患者中5~10%程度と言われています。最近のデータ(下記を参照)によりますと、乳がん片乳房発症患者中のBRCA1/2遺伝子異常保有率は、73/1394(5.2%)でした。

これをガン統計’13のデータに当てはめてみますと。

生涯乳がん罹患者720/1万人あたり、BRCA1/2遺伝子異常保有率により発症したと考えられるのはその5.2%、つまり1万人あたり約37(7205.2%)となります。

2013年度中の乳がん罹患者59,389名中では、3,088名がBRCA1/2遺伝子異常保有による発症であると予想されます。

まとめますと、BRCA1/2遺伝子異常保有によって生涯乳がんに罹る割合は1万名あたり約37名であり、この数値の受け止め方は個人によってい違うかと思いますが、決して心配をする値ではないと思います。



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以下が詳細です。

米国国立がん研究所 (NCI) が配信している世界最大最新の包括的がん情報データベースPDQ® (Physician Data Query) の日本語版を配信するガン情報サイト

http://cancerinfo.tri-kobe.org/pdq/summary/japanese-s.jsp?Pdq_ID=CDR0000062787

 

また、

NCBI GeneReviews

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK1247/

の翻訳を配信する

http://grj.umin.jp/grj/brca-ovarian.htm

にある、

遺伝性乳がん/卵巣がん(BRCA1 and BRCA2 Hereditary Breast and Ovarian CancerSynonym: HBOC

等を参照するとよいと思われるが、内容が専門的であるがゆえに、内容をまとめてみたいと思います。

 

BRCA1/2による乳がん発症率は一般的に乳がん罹患患者中5〜10%程度と言われています。例えば、下記では、次のようになっています。

http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1149366

Variation of Breast Cancer Risk Among BRCA1/2 Carriers

乳がん片乳房発症患者のBRCA1/2遺伝子異常保有率 73/1394(5.2%)

乳がん両乳房発症患者のBRCA1/2遺伝子異常保有率 108/704(15.3%)

 

このデータを現状の日本の乳がん発症率、死亡率と関連付けてみましょう。最近日本人の患者のBRCA1/2遺伝子異常保有率のデータが少し出始めていますが、このデータとかなり違っており、データの取り方に違いがあるかもしれないので、現状では上記のデータで比較をします。欧米の方が乳がんの罹患率は高く、にもかかわらず日本人の方が患者のBRCA1/2遺伝子異常保有率が高いとはすぐには信じがたい。

 

以下のデータは、国立がん研究センター、がん対策情報センターのガン統計 ’13を参照しています。

http://ganjoho.jp/professional/statistics/backnumber/2013_jp.html

 

乳がん罹患リスク(2012)

女性総人口65486千人中、

ガン発症数311,980(0.476%1万人中48)

乳ガン罹患者数59,389(ガン罹患者中19.0%、女性総人口当たり0.09%1万人中9)

 

乳がん年齢階級別罹患リスク(2012年罹患・死亡データに基づく)

年齢

~39

~49

~59

~69

~79

生涯

何人に1人か

比率

0.40%

1.80%

3.40%

5.00%

6.10%

7.20%

14

人口1万人あたり

40

180

340

500

610

720

女性総人口あたり
(万人)

26.2

118

227

327

399

471

BRCA1/BRCA2
遺伝子異変罹患者
(5.2%) :
人口1万人あたり

2.8

9.4

11.8

26

31.7

37.4

 

乳がん死亡リスク(2008)

がん死亡者数145,853(女性人口中0.223%1万人中22)人中

12,529(ガン死亡者数中8.59%、女性総人口当たり0.019%1万人中2名)

年齢階級別死亡リスク(2012年罹患・死亡データに基づく)

年齢

~39

~49

~59

~69

~79

生涯

何人に1人か

比率

0.00%

0.20%

0.50%

0.80%

1.10%

1.40%

73

人口1万人あたり

0

20

50

80

110

140

女性総人口あたり
(万人)

0

13.1

32.7

52.4

72

91.7

BRCA1/BRCA2
遺伝子異変罹患者(5.2%):
人口
1万人あたり

0

1

2.6

4.2

5.7

7.3

つまり、生涯乳がんにかかる割合は、1万人中720人、1000人中72人であり、そのうちBRCA1/BRCA2遺伝子異変で乳がんになる割合は、生涯で1万人に37名、1000人中おおよそ4名です。そして、乳がんで死亡する割合は一万人中140名、1000人中14名で、その中でBRCA1/BRCA2遺伝子異変で乳がんが原因で死亡する割合は、生涯で1万人におおよそ7名であり、決して心配する割合ではありません。

 


(続く)

 

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